総合型選抜や自己推薦を検討し始めた高2生から、「志望理由書は何を書けばいい?」「高校生活で特別な実績がないから書けない」という声がよく聞かれます。しかし、大学が知りたいのは華やかな経歴の紹介だけではありません。
学部で何を学びたいか、その関心がどの経験から生まれたのか、入学後にどう学ぶ計画なのかを、根拠とともに説明することが大切です。この記事は、高2の段階での調べ方から文章化までを整理します。
2026年10月時点の確認内容です。大学ごとの提出様式・文字数・手書き条件は、該当年度の募集要項で確認してください。
情報確認日:2026年9月21日
※入試制度・日程・配点は大学公式の2027年度資料を優先して確認しています。参考書名、完成基準、月別計画は大学公式の指定ではなく、公開情報と過去問対策をもとにした編集部の学習提案です。
目次
結論|この記事で分かること
結論:高2で志望理由書を完成させる必要はありません。まず、1興味を持った経験、2自分で行動して調べたこと、3大学の教育内容との接点、4入学後の具体的な学修計画、の4点を材料として集めます。大学ごとの提出様式・文字数は2028年度の要項で確認します。
結論|完成より材料集めを優先する
最初から立派な文章を書こうとすると手が止まりがちです。高2のうちは、材料となる経験・行動・大学の情報を集め、短いメモを積み重ねる方が後の仕上げに役立ちます。
原稿を毎週いじり続けると勉強時間を奪うので、月に一度の見直しで十分な場合もあります。
志望理由書と自己PRの役割は違う
自己PRは自分の強みや経験を紹介する文章、志望理由書はその大学・学部で学びたい理由を中心に説明する文章です。両者が重なることはあっても、「私は部長として頑張りました」の一文だけでは学部を選ぶ理由になりません。
実際には大学が指定する書式によって求められる項目が違うため、はじめに設問を読み、大学側が何を知りたいかを分解します。
最初の一文は「将来の夢」より学びたい問い
「将来社会に貢献したい」という目標を否定する必要はありませんが、それだけではどの学部でも通用します。たとえば経済学部なら「地方都市の公共交通の維持を、財政と需要の観点から考えたい」、情報学部なら「災害時に情報が必要な人へ届く仕組みを学びたい」のように、学びたい問いを具体化します。
確かめたいことが決まれば、大学のシラバスで関連する授業を見つけられます。まず一文で問いを言語化し、「なぜその問いを持ったのか」を実体験と資料で補いましょう。
経験は活動名・役職より判断の過程を述べる
部活・文化祭・探究授業・ボランティアなどの経験を並べるだけでは、読み手は何ができるようになったのか判断しづらい場合があります。たとえば文化祭の売上向上を目指した経験なら、当初の課題、計画、実行、結果、改善点を時系列で書きます。
数字を使うときは実際の記録を残し、覚えていない数字を作りません。役職がない人も、授業で疑問を持って資料を調べた過程を根拠にできます。
大学研究|研究室の名称だけ借りない
志望理由書に教員の名前や研究室を入れればよいわけではありません。大学の学部サイトで教育理念・必修科目・研究テーマを見て、自分が学びたい内容と結び付く部分を説明できるかが大切です。
研究内容が難しいときは、論文を無理に理解したふりをせず、大学公式の教員紹介を読んで理解した範囲を自分の言葉で残しましょう。
推敲は「事実・解釈・将来計画」を分ける
「学校でアンケートを実施した」は確認できる事実、「その結果から生徒の意識に差があると考えた」は解釈、「大学で調査方法を体系的に学びたい」は将来計画です。この三つを意識すると、自分の意見をデータが証明した事実のように書く誤りを防げます。
50人に聞いた調査を「若者全体の意見」と一般化すれば根拠が不足します。数字には回答数・方法・期間などを添え、学んだことを過剰に断定しないようにしましょう。
大学・方式ごとの提出条件の落とし穴
大学によっては、学部・学科ごとに別の要項と所定用紙が掲載されており、入力方法や手書き指定が異なる例があります。出願できる学部・専攻に制限がある場合もあります。
高2の練習として自由形式の原稿を作ることは有効ですが、正式出願では指定文字数・欄の意味・添付資料・証明方法・提出締切を確認します。前年度の実例は2028年度の規則ではない点を忘れないようにしましょう。
高2秋からできる3回の書き直し
最初の原稿は400〜600字程度の短いメモでもよいでしょう。第1回は興味を持ったきっかけと経験を整理、第2回は大学の講義・研究を調べて文章を追加、第3回は友人や先生に読んでもらい「別の大学でも通用する理由に見えないか」を確認します。
更新時には、活動の実績や学習経験が増えたかを確かめ、2028年度の正式要項に合わせて構成を完成させます。
実践ワーク|比較シートの作り方
以下の項目を「公式で分かった事実」「自分が重視する理由」「まだ不明なこと」の三列に分けて記録しましょう。
確認点1
学びたい問いを一文で書く
確認点2
経験をきっかけ・行動・結果・変化で残す
確認点3
大学の入学者受入方針と授業を調べる
確認点4
数字や実績の根拠を確認する
確認点5
設問ごとに原稿を分ける
具体例|違う状況の高校生ならどう判断する?
次の三人は説明用の架空のケースです。実在の合格実績や個人データではありません。
ケースA|活動実績は少ないが学部への興味は強い。授業でニュースの統計を見て経済に興味を持った。数字の出典と比較対象を調べ、学問上の疑問へつなげます。
ケースB|部活動でリーダー経験あり。役職の話に文章が偏り学問への関心が弱い。意思決定やデータ分析の経験を、学びたい科目へつなげます。
ケースC|文章の形は整うが大学名を変えても通る。テンプレートを使っている。学部の必修授業と研究紹介を調べ、自分だけの具体性を追加します。
今から8週間|実行チェックリスト
| 時期 | やること |
|---|---|
| 第1週 | 一文の問いを作る |
| 第2週 | 行動を時系列で記録する |
| 第3週 | 大学公式の教育情報を読む |
| 第4週 | 数字の根拠を確認する |
| 第5週 | 自分の弱点や疑問も書く |
| 第6週 | 設問別に原稿を分ける |
| 第7週 | 先生の質問に口頭で答える |
| 第8週 | 400〜600字のメモを完成させる |
ポイント|志望理由書の要点
- 完成より材料集めを優先する
- 志望理由書と自己PRは役割が違う
- 最初の一文は学びたい問いから
- 経験は判断の過程で述べる
- 研究室の名称だけで終わらせない
- 事実・解釈・将来計画を分けて推敲する
あわせて読みたい記事
志望理由書の準備を整理したら、推薦入試の親記事と他の子記事をあわせて読むと立体的に理解できます。
現論会で相談するときに持ってくるとよいもの
現論会で相談する場合も、次のものを持ってくると、志望理由書の準備を具体化しやすくなります。
相談では、材料の整理と、文章化の順番を整理します。
よくある質問
高2で志望理由書を完成させないと遅い?
高2では材料の記録と大学研究を先行し、正式要項が出てから提出の形に仕上げる方法が現実的です。
特別な活動実績がなくても書けますか?
具体的に考え行動した経験や学問への問いを丁寧に整理できます。ただし出願資格は方式ごとに確認してください。
将来の職業が決まっていない場合は?
職業名より、大学で深めたい問いから始めても構いません。学部の教育課程との対応を調べましょう。
志望理由書をそのまま使えるものにしてもよい?
大学側の規程を確認し、実際の経験や考えを虚偽なく本人の言葉で記載してください。
同じ文章を複数大学で使えますか?
入学者受入方針や設問が違うため、そのまま使い回すと具体性を欠くことがあります。
まとめ|次の一歩
高2で志望理由書を完成させる必要はありません。まず、興味を持った経験、自分で行動して調べたこと、大学の教育内容との接点、入学後の学修計画の4点を材料として集めます。経験は役職より判断の過程を、大学研究は名称より学びとの接点を重視しましょう。提出様式・文字数は該当年度の要項で確認してください。
- 完成より材料集めを優先する
- 志望理由書と自己PRは役割が違う
- 最初の一文は学びたい問いから
- 経験は判断の過程で述べる
- 研究室の名称だけで終わらせない
- 事実・解釈・将来計画を分けて推敲する





