物理の模試で間違えたとき、公式を暗記し直すだけでは原因が残ることがあります。問題文の条件を図に移せなかったのか、適切な系を選べなかったのか、公式の文字は合っていても符号や単位を誤ったのかで、必要な練習は違います。答案の最初の一手に戻ると、失点の発生箇所を具体化できます。
高2模試の物理は、学校の履修状況や模試の範囲によって出題単元が異なります。未習単元の失点と、習った内容を使えなかった失点は別に記録してください。例題の条件・数値は説明のために独自作成したもので、実在する模試・入試問題ではありません。公式の値や出題範囲を示すものでもありません。
目次
答えではなく、最初に不適切になった式を探す
物理は、最終結果の数字だけを見ても原因が分からないことがあります。答案を問題文から順に追い、次の流れのどこで誤りが入ったかを確認します。
- 状況の把握:物体・区間・時刻・向き・与えられた条件を特定する。
- モデル化:対象を一つの物体として見るか、複数の物体を系として見るか決める。
- 図示:力、速度、加速度、運動方向、電流や電圧の向きを置く。
- 法則の選択:運動方程式、力学的エネルギー、運動量、波の式、回路の関係などから適用できるものを選ぶ。
- 式の整理:正の向き、初期条件、既知量と未知量をそろえる。
- 計算と単位:数値代入の前に式を整理し、最後に単位と大きさを点検する。
途中の一行が最初に崩れた場所です。例えば、力の図では摩擦力を描かなかったのに、その後の式だけを何度解いても正答になりません。
| 答案の様子 | 失点原因の候補 | 見直す練習 |
|---|---|---|
| 式が立たない | 状況・系・法則を選べない | 問題文を図へ移し、未知量を一つにする |
| 式の形が違う | 条件の読み落とし、法則の取り違え | その法則を使える条件を言葉で説明する |
| 符号だけ逆 | 正の向き、ベクトルの向きが不明確 | 軸と矢印を先に置いてから式を書く |
| 単位が合わない | 量の意味、換算、式の次元に注意不足 | 代入前に単位だけで式を確認する |
| 結果が極端 | 与えた条件や計算の見通しが不十分 | 桁、極限、エネルギーなど別の方法で検算する |
| 一部だけ解けない | 未習または前問の結果の使い方 | 未習範囲と既習の活用不足を分ける |
独自作成例題:力・加速度・速度・移動距離をつなぐ
摩擦のない水平面に質量2.0 kgの台車を置き、静止状態から水平方向へ一定の力6.0 Nを3.0秒間加える。台車の加速度、3.0秒後の速度、移動距離を求める。この問題は計算手順を説明するために独自に作成した例です。
まず、水平方向の正を力の向きに取ります。摩擦がないという条件から、水平方向の合力は6.0 Nです。運動方程式より、加速度は a=F/m=6.0/2.0=3.0 m/s² です。初速度が0なので、3.0秒後の速度は v=v₀+at=0+3.0×3.0=9.0 m/s です。一定加速度運動の移動距離は x=v₀t+1/2at² より、13.5 mとなります。
この例でよく起きる誤りは、力と時間を掛けた18 N・sを移動距離だと考えることです。N・sは力積に相当する単位で、距離のmとは異なります。速度の式と距離の式を混ぜた場合も、答えの単位に違いが出ます。式を暗記し直す前に、「求める量の単位」「使う式の左辺の量」「問題の初期条件」を確認してください。
エネルギーを使った検算もできる
力のした仕事は W=Fx=6.0×13.5=81 J です。3.0秒後の運動エネルギーは 1/2mv²=1/2×2.0×9.0²=81 J となり、仕事と運動エネルギーの変化が一致します。これは計算の検算であり、別の条件へそのまま流用できる公式の使い方ではありません。摩擦や他の力がある設定なら、その力がした仕事も考慮する必要があります。
自由物体図では、作用する力と運動の向きを混同しない
力学の誤答は、図に書く力と、物体の動きの情報が混ざって起きることがあります。自由物体図には、対象物体に外部から作用する力を描きます。運動方向や加速度方向は別の矢印・別の欄に示します。速度が右向きだから、合力も必ず右向きとは限りません。減速中なら加速度は速度と反対向きの場合があります。
斜面上の物体で確認する順番
斜面の問題では、まず斜面に沿う方向と垂直な方向を決めます。重力を斜面方向・垂直方向に分け、垂直抗力や摩擦力を描きます。摩擦力の向きは運動または運動しようとする向きに対して抵抗する方向です。「斜面を下るから摩擦は常に上向き」と決めつけるのではなく、物体の相対的な滑り方を条件から確認します。
正の向きを途中で変えたなら、加速度や力の符号も同じ規則に合わせます。図で上向きを正にしたのに、式では下向きの成分を正として計算すると、途中式と答えの意味がずれます。図の横に「右向きを正」「斜面下向きを正」のように明記すると、符号ミスを減らせます。
エネルギー・運動量の式は、適用範囲を言葉で確認する
エネルギー保存や運動量保存を使うときは、式の形を先に書く前に、どの系に対して何が保存されるか確認します。外力の仕事、摩擦、衝突中の外力、系の取り方などによって使える式が異なります。「保存する」と覚えているだけでは、問題ごとの条件を取り違えます。
- 力学的エネルギー:保存力以外の力が仕事をしていないか、仕事の分を別に考えているか確認する。
- 運動量:対象とする系に働く外力の影響が無視できる条件か確認する。
- 反発係数:衝突前後の速度の向きと相対速度の定義をそろえる。
- 円運動:向心力という独立した新しい力があるのではなく、中心方向の合力を式にする。
- 単振動:変位の原点と正方向を、復元力の向きと整合させる。
解説で「この公式を使う」と示されたら、なぜその条件があるのか自分の言葉で説明します。公式の選択を間違えた場合、問題集の同型例題をそのまま解き直すだけでなく、条件を一つ変えた類題で使える式がどう変わるか比べましょう。
グラフ問題は軸・傾き・面積の意味から読む
物理のグラフは、形の暗記だけで判断せず、縦軸と横軸の量を確認します。位置・時間グラフの傾きは速度に、速度・時間グラフの傾きは加速度に対応し、速度・時間グラフと時間軸で囲む面積は変位に対応します。どのグラフでも同じ意味ではありません。
グラフで間違えたら、次を答案の横に書きます。
- 横軸・縦軸の単位
- どの区間を読むか
- 傾きまたは面積を何の量として使うか
- 正負が物理的に何を示すか
- グラフの条件と文章の条件が一致するか
直線の傾きの計算は、二点を選び、縦軸の差を横軸の差で割ります。グラフの見た目だけで「速い・遅い」「強い・弱い」と判断せず、単位を伴う量へ直します。曲線の場合も、区間全体の平均変化と、その時点での変化を区別します。
電気・波で起きる「式を知っているのに解けない」誤り
電気回路では、回路図の接続関係を読み違えると、オームの法則を正しく使っても誤答になります。直列・並列を図から確認し、どの部分に同じ電流が流れるか、どの部分で電圧が等しいかを書き分けます。電流の向きを仮定したとき、計算結果が負なら、実際の向きが仮定と反対であることを示します。方向を仮定したこと自体を誤りとみなさないでください。
波では、波形の図から読み取る距離と、時間変化を混同しないようにします。波長は同じ位相の点の間隔、周期はその点が一往復する時間です。問題に示された波形がある時刻の位置関係なのか、ある位置の時間変化なのか、図の説明と軸を最初に見ます。速さを求めるときは、距離・時間・単位の対応を確認します。
物理の模試を二週間で復習する
- 返却当日:誤答した問題に、未習・図示・法則選択・符号・計算・単位・時間の仮ラベルを付ける。
- 翌日:解答を見ずに、正の向きと自由物体図を再現する。
- 2〜4日目:主因に対応した短問を解く。公式の暗記が原因なら、使用条件も一緒に確認する。
- 5〜7日目:元の問題を解答なしで解き、最初の式の根拠を説明する。
- 8〜10日目:数値や条件を変えた類題で、同じ公式を使えるか判断する。
- 11〜14日目:時間を測って小問を解き、正答率と所要時間の両方を記録する。
模範解答と同じ解法を覚えても、条件が変わった問題で方針を選べるとは限りません。式の一行ごとに使った条件を書き、必要なら別の方法で検算します。例えば力学なら、運動方程式で求めた速さを、条件が許す範囲でエネルギーから検算できます。
よくある質問
物理の公式を忘れたら、公式集を丸暗記すべきですか?
公式の意味と使える条件を一緒に整理します。公式を知っていても、対象の系や正の向きを決められないと式にできません。間違えた問題で使う量を図に書き、どの法則からその式が出るか確かめてください。
計算ミスが多い場合は、計算問題だけを解けばよいですか?
最初に誤った行が計算か、立式かを切り分けます。立式や符号がずれているなら、計算練習だけでは直りません。分数・指数・単位換算など、繰り返す計算型を特定できたら、その型の短問を追加します。
高2模試の未習範囲は、点数に含めて弱点に数えますか?
学習記録には残しつつ、既習範囲の弱点と分けます。未習でも、既習の条件整理や比例関係で解ける問いが含まれる場合があります。どの部分が授業範囲外で、どの判断は既習の知識でできたか確認してください。
共通テストの過去問を解けば模試の失点は直りますか?
過去問は資料や問題の形式を知る参考になりますが、模試の範囲・設問・採点基準と同じとは限りません。まず返却答案の原因を直し、その後に公式の問題を時間や目的を決めて使います。高2模試全体の復習方法は模試後の失点を学習計画へ変える方法、高2の判定の見方は高2模試でE判定が出たときの確認事項も参照してください。
まとめ
物理で失点したら、最終答より前にある状況把握、図、法則、符号、計算、単位を順に確認します。正解を写すだけでは、どこで解法から外れたかが分かりません。最初に誤った行と、その行に使うはずだった条件を記録しましょう。復習では、答えの再現だけでなく、条件を変えた類題で方針を選ぶことまで確認します。未習と既習の誤りを分け、次の模試で同じ型の失点が減ったかを見れば、勉強時間を具体的な課題に使えます。
接続された二物体の問題は、系の取り方を先に決める
糸でつながれた二物体や、台とおもりが接する問題では、どの物体に運動方程式を書くかで式の形が変わります。個別の物体に対して式を書く方法と、複数物体を一つの系として見る方法を混同しないようにします。
独自の練習設定として、摩擦のない水平面上の物体Aと、滑車を介して垂れ下がる物体Bが糸でつながれているとします。AとBを別々に扱うなら、Aには張力、Bには重力と張力が作用し、両者の加速度の大きさが等しいという糸の条件を使います。AとBを一つの系と見るなら、張力は内部力として相殺され、運動を生む外力を整理できます。どちらの方法でも、対象とした物体・系を答案に書いておけば、力の書き漏れを見つけやすくなります。
この設定の数値や図は説明用に作成した例で、模試問題ではありません。滑車や糸に質量がある、摩擦がある、糸が伸びるなどの条件が加わると、使える関係は変わります。問題文の理想化条件を読み飛ばさないようにしてください。
運動を表すグラフで、傾きと面積を取り違えない
位置・時間、速度・時間、加速度・時間グラフでは、同じ「傾き」「面積」でも物理量が異なります。模試でグラフ問題を間違えたら、縦軸・横軸・単位を書いてから計算します。
- 位置と時間のグラフ:傾きが速度に対応する。
- 速度と時間のグラフ:傾きが加速度、符号付き面積が変位に対応する。
- 加速度と時間のグラフ:符号付き面積が速度変化に対応する。
速度・時間グラフの下側にある部分を、面積の大きさだけで正に加算すると変位を誤ることがあります。進行方向が反転する問題では、変位と移動距離も分けます。変位は向きを持つ量、移動距離は経路の長さです。答案の問いがどちらを求めているか最初に丸で囲みます。
物理量の単位を、公式を選ぶ手掛かりにする
公式を忘れたと思ったときでも、量の関係と単位から誤りを見つけられる場合があります。速さの単位は長さ÷時間、加速度は長さ÷時間の二乗、仕事・エネルギーはN・mでJです。単位だけで全ての式を導けるわけではありませんが、明らかな不一致に気づく助けになります。
例えば力積の単位はN・sで、力×時間から得られます。これは運動量の変化と対応しますが、距離とは単位が違います。力を時間だけ加えて移動距離を出す答案は、単位の時点で疑問を持てます。単位を「最後に付ける飾り」と考えず、式の意味を点検する情報として使ってください。
回路問題では、接続図から電流と電圧の関係を決める
電気回路の失点は、オームの法則を知らないというより、回路のどの部分が直列・並列かを読み違えたことで起きる場合があります。問題文に描かれた接続点を確認し、同じ枝を流れる電流、同じ二点間にかかる電圧を図に書き込みます。
独自作成例として、12 Vの電源に6 Ωと3 Ωの抵抗を並列につないだ回路を考えます。各抵抗には同じ12 Vがかかります。6 Ωを流れる電流は12÷6=2 A、3 Ωでは12÷3=4 Aです。分岐前の電流は各枝の和で6 Aとなります。合成抵抗を使えば1/R=1/6+1/3よりR=2 Ωで、12÷2=6 Aと一致します。
この数値例は理想的な抵抗と電源を想定した説明用の創作で、模試問題ではありません。抵抗を直列と読み違えると、各抵抗に同じ電圧がかかるという扱いが崩れます。誤答した場合、オームの法則の計算か、回路の接続関係か、電流の枝分かれの理解かを別々に確認します。
回路図を解く前に、接続点に印を付け、抵抗を同じ二点につないでいるかを見ます。線が交差しているだけなのか、交点で接続しているのかは図の記号から判断します。回路図を見た目の横並びだけで直列と決めつけないでください。
予想した結果の大きさで、計算の誤りを見つける
数値計算が終わったら、極端な値になっていないか簡単な予想と比べます。質量を小さくしたのに加速度が小さくなった、抵抗を大きくしたのに同じ電圧で電流が増えた、など関係式と反対の結果が出た場合は、式の変形や代入を見直します。
ただし「見た目に大きいから誤り」と感覚だけで決めず、単位、符号、比例関係、問題の条件を根拠にします。複数の物理法則から求められる問題では、別の方法で同じ量を検算することも有効です。検算に使った法則の適用条件も併せて確認します。
波の問題で図の時刻と位置を取り違えない
波の図を見たとき、横軸が位置なのか時刻なのかをまず確認します。ある時刻の波形を示すグラフと、ある位置での振動の時間変化は、同じ形に見えても横軸の意味が異なります。前者から波長、後者から周期を読む場合があるため、図の説明文と単位を見てください。
波の速さを求める問題では、波長と周期・振動数の対応を使う前に、それぞれの値をどの図から読んだか余白に書きます。横軸が秒なら時間の変化、メートルなら位置の変化です。周期を波形の横方向の長さとして読んだり、波長を時間と解釈したりしていないか確認します。
模試で波を間違えたときは、単語や式だけでなく、図が示す瞬間・場所を言葉にする練習を行います。図の目盛りと波の向きを指さして説明できれば、式を当てはめる前提が整います。
実験・測定問題では誤差と有効範囲を読む
測定値の比較問題では、数値が少し違うだけで法則が変わったと判断しないようにします。問題文に測定誤差や有効数字の説明がある場合、それを基準にします。条件を繰り返し測定している実験なら、平均値やばらつきをどう扱うかが設問で指定されているか確認します。
理想化した計算問題と、実際の測定値を使う考察問題を同じ手順にしないことも大切です。理想条件では無視すると明記された摩擦や抵抗を使わず、実験問題では測定データに表れた差を読みます。問題文が与えた条件を記録し、解説を見た後に、どの条件が答えを決めていたか説明できるか確かめてください。
内容を確認する一次資料
- 文部科学省「高等学校学習指導要領解説・理科編、理数編」
- 大学入試センター「大学入学共通テストの仕組み等」
- 大学入試センター「令和8年度試験の問題・正解」
大学入試センターの問題作成方針・過去問は、公開済みの試験に関する公式資料です。高2向けの個別模試は、実施機関が公表する出題範囲・解答・採点基準を参照してください。
参考・公式情報
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理科の失点を原因別に分けて復習するための記事をまとめました。
現論会で相談するときに持ってくるとよいもの
現論会で相談するときは、次のものがあると、立式と符号のどこで崩れたかを具体的に確認できます。
相談では、答えの暗記ではなく、最初に誤った一行とその行に必要な条件を確認します。





