参考書ルートの作り直し方
模試後の学習計画
模試を受けた後、「判定が思ったより低かったから参考書を変えよう」「英語の点が悪かったから長文問題集を増やそう」と、その場で計画を大きく変えていませんか。模試は学習計画を見直す大切な材料ですが、総合点や判定だけでルートを変えると、原因と対策がずれることがあります。
同じ60点でも、知識不足の60点と、時間不足の60点では次にやることが違います。模試の価値は結果を見ることより、失点を次の4週間の行動へ変えることにあります。
この記事では、模試後の失点を6種類に分類し、参考書ルートへ正しく戻す方法を解説します。
目次
結論|模試復習は「解き直し→失点分類→参考書へ戻す→再テスト」まで行う
模試後は次の4ステップで参考書ルートを作り直します。
STEP1|間違いと迷った正解を解き直す
間違えた問題と、根拠なく正解した問題をやり直します。
STEP2|失点原因を6種類に分類する
知識不足・基本手順・読解・応用・時間・ケアレスの6つへ分けます。
STEP3|原因ごとに戻る教材・単元・量を決める
「科目を頑張る」ではなく、教材・単元・量・期限まで具体化します。
STEP4|数日〜数週間後に類題で再テストする
時間を空けて、同じ失点が残っていないか確認します。
模試解説を読んで納得しただけでは、次回の得点行動へ変わりません。「どの参考書の、どのページに、いつ戻るか」まで決めて初めて学習計画になります。
ポイント|判定ではなく「次に変えられる原因」を見る
A判定でも、時間配分の弱点や未完成単元があれば修正します。E判定でも、未習範囲が多い高1・高2なら、判定だけで志望校を変更する必要はありません。模試後に見る順番は次のとおりです。
- 大問・単元別の得点
- 時間不足の有無
- 未習範囲の影響
- 知識不足か、使い方不足か
- 前回と同じ失点が続いているか
- 次回までに変えられる項目は何か
判定は全体像を知る情報として使い、学習計画はもっと細かい原因から作ります。
STEP1|模試当日〜翌日に「感触」を残す
答案が返ってくる前でも、受験直後にしか残せない情報があります。次を記録します。
- 時間が足りなかった大問
- 迷ったのに偶然正解した問題
- 知っていたのに思い出せなかった知識
- 問題文を読み違えた箇所
- 最後まで手を付けられなかった範囲
正解した問題も、「根拠なく選んだ」「時間がかかりすぎた」なら復習対象です。得点だけを見ると、この弱点が消えます。
STEP2|失点を6種類に分ける
1. 知識不足
単語、熟語、文法事項、公式、用語を知らなかった。→知識教材の該当範囲へ戻る。単語帳なら周辺語も確認し、数日後にランダムテスト。
2. 基本手順不足
知識はあるが、典型問題の解き方が出なかった。→例題・基本問題へ戻り、「どの条件を見てその解法を選ぶか」を説明する。
3. 読解・問題理解不足
英文・現代文・問題文・グラフの条件を正確に読めなかった。→英文解釈、設問根拠、条件整理など、読むプロセスへ戻る。
4. 応用・組み合わせ不足
基本知識はあるが、初見設定へつなげられなかった。→標準〜総合問題で「何を組み合わせるか」を練習する。
5. 時間不足
最後まで行けば解けるが、試験時間内に終わらなかった。→大問ごとの時間記録、捨て問判断、処理順、読解速度・計算速度を改善する。
6. ケアレス・形式
計算ミス、マークミス、単位、記述条件、設問指示の見落とし。→「気をつける」で終わらせず、見直し手順や答案チェック項目を固定する。
STEP3|失点を「戻る参考書」に変換する
分類しただけでは、翌日からの勉強は変わりません。次の形式でアクションカードを作ります。
アクションカード例
- 失点:数学・数列の漸化式で方針が出なかった
- 原因:基本手順不足
- 戻る教材:現在使っている基礎問題集の漸化式例題
- 量:例題6題+類題4題
- 期限:3日
- 再テスト:1週間後に類題2題
このように「科目を頑張る」ではなく、教材・単元・量・期限・再テストまで決めます。
STEP4|参考書を変えるか、同じ本を繰り返すか判断する
模試の点が悪いからといって、すぐ新しい参考書へ変える必要はありません。3つの判断に分けます。
同じ教材を続けるケース
- 解説を読めば理解できる
- 弱点単元が限定されている
- 復習後に再現率が上がる
- 志望校に必要なレベルと合っている
レベルを下げるケース
- 解説の前提から分からない
- ほとんどの問題で着手できない
- 復習しても再現できない
- 一冊の進度が現実的でない
レベルを上げる・演習を追加するケース
- 基本問題は安定している
- 模試では初見応用だけで失点する
- 時間を空けても基本が再現できる
詳しい判断は参考書が合わない?レベル変更の7つの判断基準へつなげます。
STEP5|次の4週間の学習計画へ反映する
模試復習は、一日で大量にやり直して終わるのではなく、次の数週間へ弱点修正を埋め込みます。
1週目|原因特定と基礎戻り
知識・典型解法の穴を埋めます。
2週目|弱点単元の類題
同じ考え方を別問題で使えるか確認します。
3週目|総合問題・長文へ戻す
単元別にできるようになったものを、本番に近い形で使います。
4週目|短い確認テスト
同じ失点が残っていないか再テストし、次月の計画を調整します。
すべての弱点を4週間で直そうとせず、配点と頻度が高いものから優先します。
科目別|模試から参考書へ戻す例
英語
単語で止まったら単語帳へ戻り、間違えた単語だけでなく同じ章の曖昧語をランダム確認。文構造の取り違えは英文解釈の該当テーマへ戻る。長文が時間内に終わらないなら、単語不足・精読速度・設問処理のどこが原因か分けて記録します。
数学
公式を忘れたら教科書・基礎教材へ。典型なのに方針が出ないなら例題の「見抜く条件」を言語化して類題へ。方針は合うが計算で崩れるなら計算過程・式変形・途中検算を見直します。最後の大問まで届かないなら、難問対策より先に前半の処理時間を測ります。
国語
正解・不正解だけでなく、本文根拠を取れたか、選択肢を何で切ったかを確認します。古文・漢文は知識不足と読解不足を分けます。
理科・地歴公民
単元別に知識不足と問題適用不足を分け、教科書・参考書の該当ページへ戻ります。未習範囲は「できなかった」と同列に扱わず、今後の学習予定へ組み込みます。
高2の模試後|判定より「受験勉強の型」を作る
高2は未習範囲が多く、判定が学力の完成度をそのまま表すわけではありません。模試を使って、毎週の学習サイクルを作ることが重要です。
高2で見ること
- 英語・数学の基礎穴
- 未習と忘却の区別
- 学校教材で修正できる範囲
- 参考書を増やしすぎていないか
- 冬までに優先する2〜3テーマ
既存記事高2の2学期にやるべきことや高2で英語が伸びないとつなぐと、模試→科目計画へ自然に移れます。
高3の模試後|残り期間と配点で修正幅を決める
高3は、模試のたびに教材を総入れ替えする余裕がありません。残り期間を考え、得点影響が大きい部分へ絞ります。
- 配点が大きい大問
- 毎年出る形式
- 短期間で改善しやすい基礎漏れ
- 何度も同じ原因で失点している項目
一方、ほとんど出ない難問に何週間も使うと、他科目の機会費用が大きくなります。
模試の復習ノートは「問題を写すノート」にしない
模試問題を全部書き写すと、時間がかかります。残したいのは、次回に同じ失点を防ぐための情報です。最低限の5項目は次のとおり。
- 問題番号・単元
- 失点分類
- 原因を一文
- 戻る教材・ページ
- 再テスト日
これだけなら、次回模試の前に短時間で見返せます。
次の模試を「検証」にする
学習計画を変えたら、次の模試で仮説を検証します。
「英語長文が遅い原因は単語より英文解釈だった」→4週間、解釈と精読を強化→次回、読了時間と正答率がどう変わったか確認
「数学は難問不足ではなく典型解法の再現不足だった」→基本例題を△×中心に復習→次回、標準大問の着手率を確認
このように、模試を「評価」だけでなく「学習計画の実験結果」として使います。
よくある質問
模試は受けた当日に全部復習するべきですか?
感触メモや自己採点は早い方がよいですが、全科目を一日で完了する必要はありません。優先順位を付け、数日以内に原因分類まで進めます。
正解した問題も復習しますか?
根拠なく当たった、時間がかかりすぎた問題は復習対象です。安定して短時間で正解できた問題は優先度を下げます。
判定が悪かったら参考書を全部変えるべきですか?
変えません。判定は複数科目の総合結果です。大問・単元・失点原因を分け、変更が必要な部分だけ修正します。
模試の復習に何日かけるべきですか?
科目数や学年によります。重要なのは長期間模試だけをやることではなく、原因分類を終えて通常学習へ戻し、弱点修正を数週間の計画へ組み込むことです。
模試の解説を読んでも分からない場合は?
前提知識へ戻ります。学校の先生や塾の担当に「どの単元まで戻るべきか」を相談するのも有効です。
まとめ|模試は「判定を見る日」ではなくルートを更新する日
模試後にやることは、解説を読んで終わることではありません。
- 当日の感触を残す
- 間違い・迷った正解を6種類に分類する
- 戻る参考書・単元・量・期限を決める
- 数日〜数週間後に再テストする
- 次の模試で改善したか確認する
- 判定だけで教材や志望校を大きく動かさない
模試を参考書ルートの更新材料に変えると、「受けっぱなし」から「次の得点へつながる模試」に変わります。
実践例|模試後の「優先順位3つ」を決める
模試では、復習したい問題が大量に出ます。すべてを同じ優先度で直そうとすると通常学習が止まるため、最初の一週間は優先順位を3つまでに絞ります。
優先しやすいのは、配点が大きい、頻出である、次の単元の前提になる、前回も同じ原因で失点した、短期間で改善できる、のいずれかに当てはまる項目です。逆に、難度が非常に高く出題頻度も低い一問だけに何日も使う場合は、他の基礎失点を直す機会を失っていないか確認します。
3つを決めたら、それぞれに「戻る教材」「範囲」「期限」「再テスト日」を一行で付けます。一週間後に改善を確認し、終わった項目は外し、まだ弱ければ翌週へ残します。この方法なら、模試が返るたびに教材を総入れ替えするのではなく、現在のルートへ必要な修正だけを加えられます。
保護者が模試結果を見るときのポイント
保護者が模試結果を確認する場合も、判定だけで「もっと勉強しよう」と結論づけるより、本人と原因を一つずつ分ける方が計画につながります。まず未習範囲があったか、時間不足だったか、同じ単元で繰り返し失点しているかを確認します。
その上で「次の模試までに何を変えるか」を2〜3項目だけ共有します。毎日の細かな進捗まで監視するのではなく、決めた教材と再テスト日が機能しているかを定期的に確認する形なら、本人の学習判断を残しながらサポートできます。





