60分という前提を公式で確かめる
最初に、自分が受ける方式の英語の試験時間を確認します。公募推薦なのか、一般入試の前期A方式なのか、学部独自の方式なのかで、科目の扱いが変わります。公式の科目ページには、方式ごとの科目と時間が整理されています。
- 公募推薦:公募推薦の科目ページで、学部・学科ごとの英語の時間を確認する
- 一般入試:一般入試前期A方式などの科目ページで、自分の方式の時間と配点を見る
- 過去問:過去問題のページで、実際に解く年度を決める
この記事では、説明の出発点として60分という数字を使います。ただし、すべての学部・方式が同じ60分とは限りません。医学部など独自の問題を出している学部・方式もあります。過年度の問題が全学部・全方式で共通とは限らないため、自分が出願する方式の問題を優先してください。
最初に決めること
時間切れを3つの型に分ける
「時間が足りない」と一括りにすると、対策が「もっと速く読む」に寄ります。実際には、次の3つの型が混ざっています。
| 型 | 答案に出るサイン | まず変えること |
|---|---|---|
| A 手が止まる型 | 空欄が多い。最後の大問が白紙 | 解く順番と撤退ラインを決める |
| B 往復する型 | 本文と設問を行き来した跡が多い。同じ箇所を何度も読む | 設問で問われる内容を確認してから本文に戻る |
| C 詰めすぎる型 | 1問に時間を使い、後半が雑になる。見直しゼロ | 1問あたりの上限時間を決める |
型
A 手が止まる型
答案に出るサイン
空欄が多い。最後の大問が白紙
まず変えること
解く順番と撤退ラインを決める
型
B 往復する型
答案に出るサイン
本文と設問を行き来した跡が多い。同じ箇所を何度も読む
まず変えること
設問で問われる内容を確認してから本文に戻る
型
C 詰めすぎる型
答案に出るサイン
1問に時間を使い、後半が雑になる。見直しゼロ
まず変えること
1問あたりの上限時間を決める
Aは順番の問題、Bは手順の問題、Cは配分の問題です。この3つを分けないまま「速読」だけを練習すると、AとCはあまり変わりません。
答案を見るときは、正解・不正解ではなく、空欄の位置と、消した跡、書き直しの多さを見ます。設問番号の横に時刻を書いておけば、どこで予定より遅れたかが後から分かります。
編集部の提案
解答順3パターンのモデル
ここでは、3分の全体確認、40分前後の読解、12分前後の短問、5分の見直しという枠の組み替えを示します。合計はどのパターンも60分です。実際の大問数や番号は年度・方式で異なるため、番号ではなく「短問」「長文」という種類で置き換えて読んでください。
| パターン | 順番と時間 | 合計 | 向く人 |
|---|---|---|---|
| A 短問先行 | 全体確認3分 → 短問12分 → 長文40分 → 見直し5分 | 60分 | 短問で確実に点を取れるが、長文で時間切れになる人 |
| B 長文先行 | 全体確認3分 → 長文42分 → 短問10分 → 見直し5分 | 60分 | 長文の得点比重が高く、後半に集中が落ちる人 |
| C 冊子順 | 全体確認3分 → 冊子順の全大問を合計52分(大問ごとの区切りを記録)→ 見直し5分 | 60分 | 順番を変えると不安が強く、まず現状を測りたい人 |
パターン
A 短問先行
順番と時間
全体確認3分 → 短問12分 → 長文40分 → 見直し5分
合計
60分
向く人
短問で確実に点を取れるが、長文で時間切れになる人
パターン
B 長文先行
順番と時間
全体確認3分 → 長文42分 → 短問10分 → 見直し5分
合計
60分
向く人
長文の得点比重が高く、後半に集中が落ちる人
パターン
C 冊子順
順番と時間
全体確認3分 → 冊子順の全大問を合計52分(大問ごとの区切りを記録)→ 見直し5分
合計
60分
向く人
順番を変えると不安が強く、まず現状を測りたい人
Aは、短い大問で取れる点を先に確保する型です。長文に40分を残せるので、読み始める時点で「残り時間が足りない」という焦りが減ります。一方、短問で詰まると全体が崩れます。短問は12分で切り、迷った問題に印を付けて先へ進みます。
Bは、長文に厚く時間を置く型です。長文2題を処理する必要がある場合、後半に回すと集中が落ちます。最初に長文へ入り、42分のうちどれだけを1題目に使うかを決めます。短問は10分で処理し、解けない問題は空欄のまま次へ進みます。
Cは、冊子の順番を変えない型です。順番を変えること自体に抵抗がある人は、まずCで測ります。全体確認の3分と見直しの5分を除いた52分を、冊子順の全大問に配分します。どの大問に何分かかったかを大問の切れ目で記録しておくと、後から遅れの位置が分かります。Cは前半で詰まると後半が白紙になりやすいので、各問の上限時間を先に決めておきます。
どのパターンも、最初の3分で「全体のページ数」「大問の種類」「設問の多さ」を確認します。この3分を省くと、後半で問題の存在に気づかないまま終わることがあります。
3パターンを試す前に、条件をそろえる
難易度が違う年度を比べると、順番の効果と問題の難易度が混ざります。同じ方式に近い過去問を選ぶところから一緒に確認できます。
現論会の相談を見る答案や学習予定をもとに、今の課題を相談できます。
戻り印と撤退ラインの作り方
解答順を変えても、戻る回数が増えれば意味がありません。設問で問われる内容を確認し、本文を読みながら根拠を探します。根拠の候補が2か所で迷ったら、両方に印を付けて次へ進みます。
- 設問のキーワードに下線を引く。本文では同じ語ではなく、言い換えを探す
- 根拠の候補が2か所で迷ったら、両方に印を付けていったん離れる
- 1問の上限は2分を目安にし、超えたら保留にして次の設問へ移る(実際の線は自分で決める)
- 大問の終わりで時刻を見て、予定より3分以上遅れていれば、残りの設問を絞る
「撤退ライン」は、諦めるためではなく、点になる問題に時間を移すために決めます。近大英語のように時間が短い試験では、1問に固執して3問を落とすより、3問を解いて1問を落とす方が得点は上がります。
ただし、撤退の判断は問題の配点によって変わります。配点が分からない場合は、設問数が多い大問を優先します。設問1つあたりの重みが同じなら、解ける設問が多い方に時間を置く方が合理的です。
初見の別回で比較する
同じ問題を解き直して順番を変えても、記憶の効果が残ります。2回目は本文の内容を覚えているため、1回目より速く読めて当然です。これを「順番の効果」と考えると、判断を誤ります。
| 比べ方 | 分かること | 分からないこと |
|---|---|---|
| 同じ問題を2回解く | 手順の定着、時間の使い方の癖 | 初見での読解速度や迷い方 |
| 初見の別回を同じ条件で解く | 順番による得点と時間の変化 | 問題難易度の差の影響 |
| 初見の別回を2回、順番を変えて解く | 順番の効果の再現性 | 年度差が大きい場合の一般化 |
比べ方
同じ問題を2回解く
分かること
手順の定着、時間の使い方の癖
分からないこと
初見での読解速度や迷い方
比べ方
初見の別回を同じ条件で解く
分かること
順番による得点と時間の変化
分からないこと
問題難易度の差の影響
比べ方
初見の別回を2回、順番を変えて解く
分かること
順番の効果の再現性
分からないこと
年度差が大きい場合の一般化
現実的には、初見の別回を2回用意できると比較しやすくなります。1回目はA、2回目はBのように順番を変え、大問ごとの所要時間を並べます。問題の難易度が違うので、得点そのものではなく、得点率・未解答数・正答率・時間を合わせて比べます。
比較の記録は、次の4つで十分です。大問ごとの終了時刻、未解答の設問数、解いた設問の正答率、見直しに使えた分数です。順番を変えて手順が整っても、得点が必ず上がるとは限りません。正答率が同じままで未解答だけ減ったなら、知識側の課題が残っています。
得点や所要時間は、自分が解いた記録で判断してください。他の人の順番や得点をそのまま当てはめる必要はありません。
得点と所要時間で組み替える
3パターンを試したら、次の基準で自分用に調整します。すべてを一度に変えず、1つずつ変えます。
| 観察されたこと | 調整案 |
|---|---|
| 事前に決めた短問枠を超える | 短問の制限時間を先に決め、解けない問題は印を付けて飛ばす |
| 長文1題目に25分以上かかる | 1題目を20分で切り、2題目へ進む。戻りは最後の5分だけ |
| 見直しが0分になる | 最後の5分を先に確保し、その分を長文から引く |
| 後半で集中が落ちる | 長文を先に置くBへ変える。短問は最後に回す |
| 空欄が最後の大問に集中する | 全体確認3分で大問の位置を把握し、先に1問だけ解く |
観察されたこと
事前に決めた短問枠を超える
調整案
短問の制限時間を先に決め、解けない問題は印を付けて飛ばす
観察されたこと
長文1題目に25分以上かかる
調整案
1題目を20分で切り、2題目へ進む。戻りは最後の5分だけ
観察されたこと
見直しが0分になる
調整案
最後の5分を先に確保し、その分を長文から引く
観察されたこと
後半で集中が落ちる
調整案
長文を先に置くBへ変える。短問は最後に回す
観察されたこと
空欄が最後の大問に集中する
調整案
全体確認3分で大問の位置を把握し、先に1問だけ解く
調整したら、また別の初見回で測ります。1回の結果で「この順番が正解」と決めず、2回続けて同じ傾向が出たときに採用します。
時間切れと、時間無制限でも解けない基礎不足は分けて考えます。時間をかけても正答できない問題が続くなら、順番ではなく語彙や文法、構文の確認が必要です。逆に、時間をかければ正答できるなら、順番と撤退ラインで改善できます。
参考書の順番や語彙の増やし方は近大英語の参考書ルートで確認できます。公募推薦の日程や科目は近畿大学公募推薦に、模試の復習手順は返却後7日の復習にまとめています。
よくある質問
3パターンは全部試す必要がありますか?
全部を試す必要はありません。まず現在の解き方(C)で1回測り、時間切れで落とした設問が多い場合にAかBを1つ試します。2回測って改善が見られなければ、別のパターンに変えます。
同じ問題を解き直して順番を比べてもよいですか?
手順の確認には使えますが、初見での効果は分かりません。2回目は内容を覚えているため、時間が短くなって当然です。順番の効果を見たいときは、初見の別回を用意してください。
大問の番号は毎年同じですか?
年度や方式によって異なる場合があります。大問の番号は年度で変わるため、ここでは「短問」「長文」という種類で置き換えて読みます。実際の問題構成は、自分が出願する方式の過去問で確認してください。
医学部など独自の問題にも同じ順番でよいですか?
一律には適用できません。独自の問題を出している学部・方式では、問題構成も時間も異なる場合があります。その方式の過去問で別に測ってください。
まとめ
時間切れは、読む速度だけでなく、順番・手順・配分の3つで起こります。まず答案からA・B・Cの型を見つけ、短問先行・長文先行・冊子順の3パターンを、初見の別回で比べます。
比べるときは、得点率・未解答数・正答率・時間の4つを並べます。未解答が減っても正答率が変わらないなら、次は知識の確認です。調整は1つずつ行い、2回続けて同じ傾向が出たときに採用してください。手順を変えただけで得点が上がるとは限らないため、結果は記録で確かめます。時間をかけても解けない問題は、順番ではなく基礎の確認に戻します。
参考・公式情報
現論会で相談するときに持ってくるとよいもの
解答順の相談は、点数より「どの大問で何分使ったか」があると具体的になります。次の4点を持ってくると、組み替え案をその場で比べられます。
答案と成績表は原本かコピー、学習記録はメモで構いません。点数より「どこで止まったか」が分かる形だと話が進みます。
60分の使い方を、答案から組み直す
同じ得点でも、時間切れで落としたのか、知識不足で落としたのかで次の手は変わります。大問ごとの時刻メモがあると、解答順の比較がしやすくなります。
現論会の無料受験相談を見る答案や学習予定をもとに、今の課題を相談できます。






