要約は、短くすること自体が目的ではありません。テスト前に「どこを思い出せればよいか」が分かる形にすることが目的です。だから、要約の前に、元の資料のどこに何が書かれているかを確認します。
この記事では、細胞小器官についての短い自作教材を2ページ分そのまま掲載し、添付、対象ページの指定、読み取れた範囲の確認、要約表の作成、原文との照合、小テストまでの流れを実演します。実際のPDFを読み込ませた記録ではなく、入力資料の作例です。
ここで使う原文は、この記事のために書いた自作教材で、実在の教科書からの引用ではありません。ページ番号も説明用に付けたものです。
このページは2026年10月26日時点の下書きで、公開日を示すものではありません。
目次
1. 要約が失敗する原因は、指示の順番にある
失敗しやすいのは、最初に「この資料を要約して」とだけ頼むことです。ファイル全体を一度に要約させると、どのページの記述かが落ちます。落ちると、テスト前に原文へ戻れません。
もう1つの失敗は、要約の字数を先に決めることです。「200字で」と指定すると、図表や条件が削られます。字数は最後に調整すればよく、先に決めるのは「何を残すか」です。
この記事の順番は、添付、ファイル名の確認、対象ページと目的の指定、読み取れた範囲の列挙、要約表、原文照合、小テストです。この順番だと、どこで崩れたかが分かります。
2. 自作教材の原文(ページ1)
図1:自作教材の原文ページ1(教材用の作例)
この記事のために書いた自作教材です。実在の教科書からの引用ではありません。
自作教材 1 / 2
ページ1
細胞には、核・リボソーム・ミトコンドリアなどの器官がある。核はDNAを含み、遺伝情報を保持している。リボソームはタンパク質を合成する場で、細胞質に存在する。
核=DNA
リボソーム=合成
ミトコンドリア
教材用の作例。実際の教科書・資料のページではありません。
ページ1の原文はこれです。
細胞には、核・リボソーム・ミトコンドリアなどの器官がある。核はDNAを含み、遺伝情報を保持している。リボソームはタンパク質を合成する場で、細胞質に存在する。
3つの器官と、それぞれの役割が書かれています。ここで注意するのは、核が「DNAを含む」と書かれている点と、リボソームが「細胞質に存在する」と書かれている点です。要約でこの2つが抜けると、後で設問に対応できません。
3. 自作教材の原文(ページ2)
図2:自作教材の原文ページ2(教材用の作例)
植物細胞にもミトコンドリアがある、という行が要約で消えやすい箇所です。
自作教材 2 / 2
ページ2
ミトコンドリアは呼吸によってATPをつくる。植物細胞にもミトコンドリアは存在し、呼吸を行う。葉緑体は植物細胞に特有で、光合成でデンプンをつくる。
消えやすい行
教材用の作例。実際の教科書・資料のページではありません。
ページ2の原文はこれです。
ミトコンドリアは呼吸によってATPをつくる。植物細胞にもミトコンドリアは存在し、呼吸を行う。葉緑体は植物細胞に特有で、光合成でデンプンをつくる。
ここには、間違えやすい記述が入っています。「植物細胞にもミトコンドリアは存在する」という部分です。植物は呼吸しない、という誤解があると、この行が消えます。要約で消えたら、原文に戻って確認します。
4. 添付して、まずファイル名を確認する
図3:添付から要約までの操作(操作説明用の模式図)
添付したら、すぐ要約させず、ファイル名とページ数を確認します。
添付の項目からファイルを選ぶ
ファイル名を確認させる
ページ数を確認させる
目的と対象学年を伝える
メッセージ入力欄
添付したファイルの名前と、全ページ数を教えてください。
送信は送信ボタンで行います。Enterの動作は端末で異なります。
添付の公式説明はOpenAI公式ヘルプ「ファイルと音声のアップロード」にあります。使えるファイルの種類や上限はプランや設定で変わります。
操作説明用の模式図。画面・名称・上限は環境で異なります。
添付の操作は、入力欄の近くにある添付の項目からファイルを選び、目的を文章で伝えて送信します。名称と位置は環境で異なります。上限や使えるファイルの種類も、プランや設定で変わります。
添付したら、すぐに要約させません。まず「いま添付したファイルの名前を1つ教えてください」と送ります。ファイル名が違うときは、別のファイルを読んでいる可能性があります。気づければ、無駄な要約を作らずに済みます。
次に「この資料は全部で何ページありますか。読み取れているページ番号を列挙してください」と聞きます。ページ数が合わない、または列挙が飛んでいる場合は、読み取り範囲のずれや出力のミスの可能性があります。ファイル名とページ数が合っていても、中身まで正しく読めている保証にはなりません。自分のPDFビューアと突き合わせ、短い抜粋とページ番号で再確認します。
5. 対象ページと目的を指定する
図4:ページ番号と紙面のノンブルの違い(教材用の作例)
PDFのページ番号と、紙面に印刷されたノンブルは一致しないことがあります。
PDFのページ番号
ファイルを開いたときの1枚目が1ページ。添付した順番で数える。
依頼ではこちらを指定する。
紙面のノンブル
印刷された頁番号。表紙や目次が入ると、PDFの番号とずれる。
ずれる場合は「PDFの2枚目」と書く。
「2ページ目」だけだと、どちらを指すか曖昧になります。
2ページの資料なら、最初から両方を要約させず、ページ1だけにします。「1ページ目だけを、テスト前の復習用に要約してください」と指定します。
目的も入れます。「テスト前の復習用」と書くと、用語と役割の対応が残りやすくなります。「レポート用」と書くと、文章の流れが優先されます。同じ原文でも、残る情報が変わります。
対象学年も入れます。「高校1年の生物基礎として」と書くと、用語の難易度が合います。ここを書かないと、大学レベルの用語が混ざることがあります。
6. 読み取れた範囲を先に列挙させる
要約の前に、次の依頼を送ります。
この資料の1ページ目について、読み取れた見出しと本文の要点を、原文の言葉を残して箇条書きにしてください。読み取れなかった部分があれば「読み取り不明」と書いてください。推測で補わないでください。
PCは文字をドラッグしてコピー、スマホは長押しで選択してください。選択操作は端末により異なります。
実際の入力画面(スクリーンショット)
操作説明用の模式図とは別に、実際の画面を撮影したものです。画面の名称・配置は環境で変わります。
タップ・クリックで拡大
- 1PDFの対象ページを決める
- 2読み取れた範囲の確認を頼む
- 3表と根拠の列を指定する
この画面は送信前の入力までを写したものです。記事中の回答例は説明用に整理した作例で、この画面から返ってきた実際の回答ではありません。個人情報は画面の範囲外にしています。
ここで「読み取り不明」が出たら、その部分は要約に使えません。先に知っておくと、後で「要約に書いてあったが原文にない」という事故を防げます。
7. 要約表は3列で作る
図5:要約表の3列(教材用の作例)
先に1ページ目だけを作り、2ページ目に同じ手順を行ってから結合した表です。
| 要点 | 根拠ページ | 確認箇所 |
|---|---|---|
| 核はDNAを含み、遺伝情報を保持する | 1 | 1ページ2文目 |
| リボソームはタンパク質を合成する場 | 1 | 1ページ3文目 |
| ミトコンドリアは呼吸でATPをつくる | 2 | 2ページ1文目 |
| 植物細胞にもミトコンドリアは存在する | 2 | 2ページ2文目 |
表だけ横スクロールできます。まず1ページ目は2行です。
要約は、文章ではなく表にします。列は「要点」「根拠ページ」「確認箇所」の3つです。まず1ページ目だけで作ります。
| 要点 | 根拠ページ | 確認箇所 |
|---|---|---|
| 核はDNAを含み、遺伝情報を保持する | 1 | 1ページ2文目 |
| リボソームはタンパク質を合成する場 | 1 | 1ページ3文目 |
1ページ目は2行です。ここで終わらせず、2ページ目にも同じ手順を行います。読み取れた範囲を列挙させ、同じ3列で表を作り、最後に1つに結合します。図5は、2ページ分を結合した後の表です。最初から2ページ分の表が出てきた場合は、どのページを根拠にしたかを行ごとに確認します。
「確認箇所」を文単位で書くのがコツです。ページだけだと、テスト前に戻ったとき、どこを見るかに迷います。
8. 原文と要約を対応させる
図6:原文と要約の対応(教材用の作例)
主語・条件・否定が消えていないかを見ます。
原文
核はDNAを含み、遺伝情報を保持している。
要約
核はDNAを含み、遺伝情報を保持する
原文
植物細胞にもミトコンドリアは存在し、呼吸を行う。
要約
植物細胞にもミトコンドリアは存在する
上は主語と役割、下は「存在する」という主張が残っているかを見ます。
対応を見る場所は3つです。主語が抜けていないか。条件が抜けていないか。否定が消えていないか。
たとえば「植物細胞にもミトコンドリアは存在する」を「植物細胞のミトコンドリア」と短くすると、存在するという主張が弱まります。短くしても、主張の向きは変えません。
次の依頼で、対応を確認できます。
要約表の各行について、原文のどの文に対応するかを引用して示してください。対応する文がない行は削除してください。
PCは文字をドラッグしてコピー、スマホは長押しで選択してください。選択操作は端末により異なります。
対応する文がない行は、AIが補った可能性があります。削除するか、別欄に移します。
9. 要約しすぎたときの直し方
図7:要約しすぎた例と条件を残した改善(教材用の作例)
字数より、削ってはいけない要素を先に決めます。
要約しすぎ
「細胞には核とミトコンドリアがある」
名前だけ残り、役割が消えている。
条件を残した改善
「核:DNAを含み遺伝情報を保持」「リボソーム:タンパク質を合成」
名前と役割を1行ずつ。収まらなければ行を分ける。
悪い例は「細胞には核とミトコンドリアがある」だけの要約です。器官の名前は残っていますが、役割が消えています。役割が消えると、設問に答えられません。
直すときは、条件を足します。
各要点に、器官の名前と役割の両方を残してください。1行は40字以内とし、役割を削らないでください。
PCは文字をドラッグしてコピー、スマホは長押しで選択してください。選択操作は端末により異なります。
字数を守ることより、役割を残すことを優先します。40字で収まらない場合は、行を分けます。
10. 図表が読めないときの分岐
図8:図表が読めないときの分岐(教材用の作例)
推測させず、読めないまま残します。
図表が未読と返ってきた
図だけ画像で添付
本文と別に渡す。読める範囲が増える。
説明を文字にする
自分で図の要点を書いて渡す。
図を除いて要約
本文だけを要約し、図は別にまとめる。
「図表は未読」と明記させる一文を、依頼に入れておきます。
PDFの中の図や表は、本文のように読めないことがあります。スキャンした画像、色分けされた模式図、細かい表などです。読めないときは、推測させず、別の方法に切り替えます。
分岐は3つです。1つ目、図の部分だけを画像として別に添付する。2つ目、図の説明を自分で文字にする。3つ目、いったん図を除いて本文だけを要約し、図は別にまとめる。
依頼はこうです。
この資料の図表は読み取れない可能性があります。読み取れない場合は推測せず「図表は未読」と明記してください。本文だけを要約してください。
PCは文字をドラッグしてコピー、スマホは長押しで選択してください。選択操作は端末により異なります。
11. 数字と文字の読み違いを確認する
図9:読めた部分と読めない部分の例(教材用の作例)
数字と文字の混同は、スキャン資料で起こりやすい箇所です。
読めた
本文の文章、見出し、段落の区切り
読めない・危ない
- ・0 と O、1 と l の混同
- ・上付き・下付きの崩れ
- ・図の中の小さな文字
- ・薄いスキャン、傾き
一致しない数値は「要確認」として残し、推測で埋めません。
スキャンの資料では、0とO、1とl、上付き・下付きの区別が崩れることがあります。生物の資料でも、数字が出てくれば同じです。
確認の依頼はこれです。
要約の中で数字や記号が出てきたら、原文の表記と一致するか確認してください。一致しない場合は、その行を「要確認」として残してください。
PCは文字をドラッグしてコピー、スマホは長押しで選択してください。選択操作は端末により異なります。
「たぶん0」と補わせないことが大事です。分からないものは、分からないまま残します。
12. 元にない知識を足させない
補足が必要な場面は2つあります。1つは、原文に書かれていない背景を知りたいとき。もう1つは、原文の用語が難しく、言い換えがほしいときです。
どちらの場合も、本文と混ぜません。依頼はこうです。
要約表の後に「AIによる補足(資料外)」という欄を作り、原文にない内容はそこだけに書いてください。本文の要約には追加しないでください。
PCは文字をドラッグしてコピー、スマホは長押しで選択してください。選択操作は端末により異なります。
この分離があると、テスト前に「どちらが資料の記述か」が分かります。混ざると、資料にない用語を覚えてしまいます。
13. 個人情報と著作物の扱い
資料に氏名、学校名、受験番号、成績が入っている場合は、添付の前に削除します。必要な範囲だけを渡すのが基本です。設定の変更や削除の操作は、この記事では扱いません。
教科書や問題集の本文を、そのまま大量に添付して要約させることは避けます。必要な抜粋だけにします。引用の範囲や利用の条件は、学校や出版社の案内に従ってください。
14. 要約を小テストに変える
図10:要約表から作る5問(教材用の作例)
答えは要約表の中に収めます。表にない内容は出題しません。
Q1.核は何を含み、何を保持するか
A.DNAを含み、遺伝情報を保持する
Q2.リボソームは何を合成する場か
A.タンパク質
Q3.ミトコンドリアは呼吸で何をつくるか
A.ATP
Q4.植物細胞にミトコンドリアはあるか
A.ある。呼吸を行う
Q5.タンパク質合成に関わる小器官は?
A.リボソーム
答えを隠して言い、言えなかった番号だけを次回に出します。
要約表ができたら、それを使って5問作ります。答えは要約表の中に収めます。
この要約表だけを使って、5問の一問一答を作ってください。表にない内容は出題しないでください。答えは表の表現のままにしてください。
PCは文字をドラッグしてコピー、スマホは長押しで選択してください。選択操作は端末により異なります。
作例の5問です。
1.核は何を含み、何を保持するか。 A.DNAを含み、遺伝情報を保持する。
2.リボソームは何を合成する場か。 A.タンパク質。
3.ミトコンドリアは呼吸によって何をつくるか。 A.ATP。
4.植物細胞にミトコンドリアはあるか。 A.ある。呼吸を行う。
5.タンパク質合成に関わる小器官は? A.リボソーム。(1ページ3文目)
5問とも、答えは要約表の行の中にあります。5番は、2番の問いを逆方向から聞いた形です。用語から役割か、役割から用語かを分けて確認できます。表にない行は出題しません。
5問を隠して答え、言えなかった問題の番号だけをメモします。次の確認では、その番号だけを出します。
15. 1回の依頼に詰め込まない
1回でやろうとすると、添付、要約、小テスト、図の説明まで一度に頼みます。返答が長くなり、どこが原文に対応するかが薄まります。
分ける単位は、ページか目的です。ページ1の要約、ページ1の小テスト、ページ2の要約、ページ2の小テスト。この4回に分けると、途中で崩れても戻せます。
時間の目安は、1ページの要約に10分、照合に5分、小テストに5分です。これは編集上の目安で、要約の速さや理解度を保証する数字ではありません。
授業ノートを要約する場合も、順番は同じです。まずノートのページ数を確認し、対象のページを決め、読み取れた範囲を列挙させます。ノートは手書きのことが多く、文字の崩れや矢印の読み違いが起きます。矢印の意味は、自分で文字にしてから渡してください。
要約表は、テストの直前に作り直すのではなく、授業の翌日に作ります。翌日なら、ノートのどの部分を指しているかを覚えています。テスト前に作ると、原文の確認に時間が取られます。
16. よくある質問
Q.要約の字数は決めたほうがいいですか。 A.先に決めません。先に決めるのは残す情報です。器官の名前と役割のように、削ってはいけない要素を指定し、字数は最後に調整します。
Q.PDFの図が読めません。 A.推測させず「図表は未読」と明記させます。図だけを画像として別に添付する、説明を自分で文字にする、本文だけを要約する、のどれかに切り替えます。
Q.資料にない説明が混ざります。 A.「AIによる補足(資料外)」の欄を作り、本文と分けます。要約表の行には、対応する原文の文を引用させ、対応がない行は削除します。
Q.小テストは何問作ればいいですか。 A.まず5問を目安にしてください。機能の制限ではなく編集上の目安です。5問を隠して答えられないうちに増やすと、確認が追いつきません。
17. まとめ
要約は、短くする作業ではなく、戻れる形に整理する作業です。添付したらファイル名とページ数を確認し、対象ページと目的を指定し、読み取れた範囲を列挙させます。要約は3列の表にし、原文の文と対応させます。
図表が読めないときは推測させず、別の方法に切り替えます。資料にない知識は別欄に分け、要約表から5問を作って隠して答えます。字数や問題数は目安として扱い、言えなかった番号を次の確認に回してください。
参考・公式情報
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要約した内容を定着させるための、カードと学習モードの記事もまとめています。
現論会で相談するときに持ってくるとよいもの
要約しても点につながらないときは、次のものがあると、読めていない範囲と確認の順番を分けて見直せます。
相談では、要約を増やす前に、原文に戻れる形になっているかを確認します。




