模試の現代文を解き直すと、本文を読めば分かったはずなのに選択肢を外したり、解説を読むと納得できたりすることがあります。その感覚だけで「読解力がない」と決めると、語彙を増やすべき問題と、設問条件や根拠の取り方を直すべき問題が一緒になります。
高2の模試では、学校で習った範囲、問題の形式、記述・選択の配点が実施回によって異なります。偏差値や正答率だけでなく、本文のどの一文を根拠にし、選択肢のどの語を理由に選んだかを戻って確認しましょう。この記事の例題は説明用に独自作成したもので、実在する模試・入試の問題ではありません。
目次
まず「本文を読めなかった」と「答えを選べなかった」を分ける
誤答した問題について、解説を読む前に次の三つを書きます。
- 問いが求めているものを一言で書く。理由、内容、筆者の評価、表現の効果など。
- 自分が根拠にした本文の箇所に線を引く。
- 選択肢のどの語句が本文と一致すると考えたかを丸で囲む。
その後、正解の根拠と自分の線を比べます。根拠箇所がずれていれば、本文の構造や指示語の追跡が課題です。根拠は合っていたのに誤答したなら、選択肢に加えられた条件、程度、因果関係を見落とした可能性があります。
| 答案で見つかったずれ | よくある原因 | 先に行う練習 |
|---|---|---|
| 段落の役割が違う | 具体例を筆者の主張と読んだ | 段落ごとに「主張・理由・例・反論」を付ける |
| 指示語の対象が違う | 直前の一語だけを受けると思い込んだ | 指示語を含む文を、指示内容を補って言い換える |
| 対比の片側しか読めない | しかし、むしろ、一方で等の後を見落とした | 対比される二項を左右に並べる |
| 選択肢が本文より強い | 一部を「すべて」、可能性を断定に変えた | 数量・程度・時制・主語を本文と照合する |
| 理由と結果が逆 | 接続語や因果の向きを取り違えた | 「AだからB」を本文に即して矢印で書く |
| 記述の要素が欠ける | 問いの条件を答案に反映していない | 必須要素を採点基準から逆算してチェックする |
失点を一問一原因に決めつける必要はありません。主因と副因に分けます。例えば「筆者の主張を逆に取った」が主因で、「選択肢の『必ず』を見落とした」が副因なら、次回の重点は段落の対比をつかむことです。
独自作成例題:選択肢の一語が本文の範囲を広げていないか
次の短文は、設問分析のための独自作成例です。
学校の図書室に、静かに読書する場所だけでなく、友人と本の感想を話せる机を設けた。利用記録を見ると、昼休みに机を使う生徒は増えた。一方で、読書時間が長くなったかどうかは、この記録だけでは分からない。図書委員会は、机を撤去するかをすぐ決めず、学期末に再度利用状況を調べることにした。
問い:図書委員会が学期末に再調査する理由として、本文から言えることはどれか。
A. 机を置いたことで、全生徒の読書時間が長くなったから。 B. 利用する生徒が増えた一方、読書時間の変化はまだ分からないから。 C. 図書室の机を撤去すると、読書する生徒がいなくなるから。 D. 感想を話す机は、静かに読書する場所より必ず人気だから。
正解はBです。本文には利用者が増えた記録がある一方、読書時間の長さは分からないとあります。Aは「昼休みに机を使う生徒」と「全生徒」を置き換え、「利用者数」と「読書時間」を同じものにしています。Cは本文にない撤去後の結果を足しています。Dは「必ず」という断定も、二つの場所の人気比較も書かれていません。
Aを選んだ場合、本文の近くにある「生徒が増えた」という事実を見つけていても、設問の「理由」に合わせて情報を組み直せていません。Bを選べた人も、根拠を示せなければ偶然当たった可能性があります。正答番号だけでなく、本文のどの二文が選択肢の前半・後半に対応するかを示せるかで確認してください。
選択肢は「本文との一致」だけでなく「余計な断定」を探す
内容一致問題では、一部の語が本文にあるだけで正解と判断しないことが大切です。選択肢を、主語・述語・対象・理由・程度・時点に分け、本文と一つずつ照合します。
- 主語:筆者なのか、登場人物なのか、ある集団の一部なのか
- 対象:何について述べた文なのか
- 理由と結果:本文の因果を逆向きにしていないか
- 数量:一部、いくつか、多く、すべての違い
- 程度:可能性、傾向、断定の違い
- 時点:以前の状態と、現在の評価が混ざっていないか
選択肢に「必ず」「唯一」「全員」「完全に」などがある場合、本文が同じ強さで述べているか確認します。本文にない限定が一つ付くだけで、他の部分が正しくても不適切になることがあります。
誤答の選択肢も、どこが本文とずれるかを説明できるようにします。「何となく違う」では、同じ型の誤りを次の模試でも繰り返します。選択肢の余計な語に線を引き、本文が許している範囲へ直す練習をすると、誤答のパターンが見えます。
指示語と段落の役割を追う
「それ」「このような」「その結果」の対象を、近くにある名詞だけで決めると読み違える場合があります。指示語を具体的な内容に置き換えて読み直します。例えば「この変化」が指すのは、直前の制度変更だけか、それによって起きた人々の行動まで含むのかを、前後の文から特定します。
段落を要約するときは、本文にない評価を加えないことも重要です。「例が出てきた段落」を「筆者の結論」と言い換えないよう、段落の役割を記号で残します。
- P:筆者の主張
- R:理由や根拠
- E:例
- C:反対意見や条件
- S:段落の小まとめ
この記号は全ての文章に機械的に当てはめる分類ではありません。読んでいる最中に主張と例を区別し、後から根拠へ戻るための目印です。段落の一文要約が書けない場合は、全文の現代語訳をやり直す前に、接続語と指示語を確認しましょう。
記述答案は問いの条件を採点要素へ変換する
記述で点を落としたとき、「文章が下手だから」とだけ考える必要はありません。答案を次の要素に分解します。
- 誰について答えるか
- 何が起きたか
- その理由や背景は何か
- 本文のどの表現を使うか
- 指定字数や文末など、答案の形式は合っているか
例えば「なぜ筆者は方法Aを評価するのか」と聞かれたら、方法Aの説明だけでは足りないことがあります。本文にある評価理由と、比較対象との違いを含める必要があります。模範解答を丸写しするのではなく、採点基準の必須要素を短い箇条書きにし、自分の答案のどれが抜けたかを比べます。
字数が足りないときは、本文の言葉を増やすより、理由・条件・結果のうち落とした要素がないかを確認します。長く書いても、問われた内容が入っていなければ得点につながりません。答案を一文に圧縮し、要素を残したまま指定字数に広げる練習が有効です。
模試の復習を次の読解につなげる四段階
- 解説を開く前に再読する:正解の根拠を本文から探し、自分の根拠と違った箇所を記録します。
- 誤答の理由を具体化する:「選択肢を読み違えた」ではなく、「『一部の生徒』を『全生徒』にした」と書きます。
- 同じ型を一問だけ練習する:指示語、因果、対比、記述要素など、主因に合う問題を選びます。
- 数日後に初見文で確かめる:同じ文章の答えを覚えているかではなく、別の文章で根拠を探せるかを見ます。
復習ノートは、問題文全体を書き写さなくても使えます。「問われたこと」「根拠の段落」「誤答の余計な語」「次に確認すること」の四欄だけで十分です。誤答の説明は短く、次に同じ問題を見たとき行動を変えられる内容にします。
| 復習記録の例 | 記入例 |
|---|---|
| 問い | 筆者が再調査を選んだ理由 |
| 根拠 | 利用記録は増加、読書時間は未測定 |
| 自分の誤り | 利用人数の増加を読書時間の増加と同一視 |
| 次の確認 | 数量と測定対象を選択肢ごとに照合 |
二週間で改善を確認する
返却当日は、誤答に印をつけ、答案と本文を照合するだけにします。翌日、主因を一つ選び、解説を閉じても説明できるか確認します。2〜4日目には、同じ設問型の短い問題を2〜3問解きます。5〜7日目に、正解だけでなく誤答選択肢の誤りを一つずつ説明します。8〜10日目は別の文章で同じ読解手順を試します。11〜14日目に時間を測って解き、正答率と所要時間を記録します。
一度の模試だけで現代文全体の力を判断しないでください。文章のジャンル、設問形式、学校での履修状況によって点数は変わります。複数回の答案を並べ、「理由問題で因果を逆に読む」「選択肢の数量語を見落とす」など、繰り返している型に絞って対策します。
よくある質問
解説を読めば分かるのに、模試では解けません。
解説を読むと根拠が示され、選択肢の誤りも説明されています。解説を閉じて、問いが求める内容を言い換え、本文の根拠と誤答の一語を自力で示せるか確かめましょう。それができないときは、理解ではなく答えを見た状態です。
語彙が分からない文が多い場合、語彙帳を最初からやるべきですか?
まず失点した文に出てきた語を調べ、知らない語が結論の理解に必要だったか確認します。知らない語を文脈で補えた場合と、中心語が分からず根拠の判断を誤った場合では優先度が違います。模試で繰り返し出る語と、読解の論理を変えた語から復習します。現代文の問題集をたくさん解くほど伸びますか?
問題数より、誤答の再現性を確かめることが先です。量を増やしても、本文の根拠と選択肢を照合しないまま解き続けると同じ誤りが残ります。復習で直した型を、別の文章で使えるかを見るために問題を追加してください。
高2模試の結果で志望校を決めるべきですか?
模試の判定だけで決めず、科目別の得点、出題範囲、未習単元、複数回の変化を合わせて見ます。大学・学部の入試科目や配点は年度で変わるため、志望校の公式募集要項で確認してください。高2模試の判定の見方は高2模試でE判定が出たときに確認する項目、模試後の復習計画は高2模試の結果を学習計画に変える方法も参考になります。
まとめ
現代文の失点は、本文の理解、根拠の位置、問いの条件、選択肢の表現、記述の要素に分けると、次に何を練習すべきかが見えます。点数や偏差値だけでは原因は分かりません。自分が引いた根拠と、選択肢に加えられた一語を比べてください。
誤答を「読解力不足」で終わらせず、「利用人数を読書時間と取り違えた」「本文の可能性を選択肢の断定に広げた」のように記録しましょう。解説を閉じて別の文章で同じ読解手順を使えれば、復習が次の得点力へつながります。
読解問題の種類ごとに、問いの言い換え方を変える
現代文の設問は、本文の一文を探すだけで答えられるものと、複数の文をつないで判断するものがあります。問いの語尾に注目すると、どの作業が必要か分かります。
- 「どういうことか」:傍線部の比喩・抽象語を、本文の説明へ置き換える。
- 「なぜか」:結果だけでなく、本文に示された理由や背景を含める。
- 「どのような点で異なるか」:比較対象を二つとも答案に出す。
- 「筆者の考えに合うもの」:具体例ではなく、段落全体の主張を確認する。
- 「表現の効果」:言葉の意味だけでなく、前後でどんな読み手の理解を促すかを見る。
問いを自分の言葉に直すとき、本文の答えを先に混ぜないようにします。たとえば「AとBの違いは何か」と問われているなら、答案の主語にAとBの両方があるかを確認します。Aだけを説明しても比較になりません。
独自作成例:抽象語を本文の具体的な内容へ戻す
町は「便利さ」を増やすために、広場のベンチを撤去した。通行できる面積は広がったが、休憩する人は周辺の店先に集まり、歩行者との接触が増えた。筆者は、公共空間の価値を移動の速さだけで測ることに疑問を示している。
「公共空間の価値を移動の速さだけで測る」とはどういうことかと聞かれたら、「通行のしやすさだけを基準にし、休憩や人との交流の役割を考慮しないこと」と説明できます。ベンチを撤去した事実だけを答えるのは、具体例であって筆者が問題にしている考え方の説明ではありません。この例文と問いは分析手順のために独自作成したものです。
設問根拠と選択肢のずれを一対一にする
選択肢の誤りをノートに写すとき、「本文と違う」とだけ書かず、どの条件がどう変わったかを短い対で残します。
| 選択肢の語 | 本文の語・内容 | ずれ |
|---|---|---|
| すべての市民 | 一部の利用者 | 対象を広げた |
| 必ず増える | 増える場合がある | 可能性を断定にした |
| 原因である | 同時期に起きた | 関係を因果にした |
| 以前から同じ | 変更後に初めて確認 | 時期を逆転した |
| 交流が目的 | 通行量を測定 | 目的と観察結果を混ぜた |
表を作ると、誤答の選択肢がどのパターンを使っているか見えてきます。次の模試で同じ語が出たら注意するため、自分がよく引っかかる一つを答案の表紙に記録してもよいでしょう。ただし、単語だけで正誤を決めず、本文が実際にその強さを述べているか毎回確認します。
初見文で読み方を再現する練習
元の問題を解き直して正解しても、解説の内容を記憶しているだけかもしれません。復習の翌週は、同じ設問型の別の文章を使います。読む前に時間を決め、各段落の要約を一行、問いの条件を一行、根拠の文を一つ記録します。
読み終えた後は、解答番号だけでなく、誤答候補を選べない理由を説明します。正解の根拠が複数段落にまたがる場合、どの段落をどう結び付けたかも書きます。ここで説明できないときは、語彙や文構造の復習へ戻るか、選択肢照合の手順をもう一度行います。
時間不足が主因なら、読解速度だけを上げようとせず、一問にかけた時間を記録し、本文へ戻る回数が多すぎないか見ます。段落ごとの短い印や、設問の条件語に印を付ける方法が有効か、別の文章で比較してください。
文学的文章では、叙述の視点と登場人物の理解を分ける
物語文で失点したとき、登場人物が感じたことと、語り手が評価したことを混ぜていないか確認します。人物の発言はその場の言葉であり、心の中の考えと一致するとは限りません。表情、行動、前後の変化、他者の反応を根拠として、心情の読みを支えます。
独自作成例:発言と行動の差を読む
彼は「急がなくていい」と言った。しかし、時計を何度も見て、机の上の書類を整え直していた。私は、彼が本当は出発を急いでいるのではないかと思った。
この短文は説明用に作成した例です。彼の発言だけなら急ぐ必要がないと読めますが、語り手は時計や書類の動作から別の心情を推測しています。「彼が急いでいた」と断定するのか、「語り手がそう推測した」と答えるのかは設問の主語によって異なります。語り手の推測と、本文で確定している事実を混ぜないようにします。
登場人物の心情を選ぶ問題では、本文のどの行動・会話・場面変化を根拠にしたか記録します。「悲しいと思った」だけでは根拠がありません。選択肢が心情の強さや理由を付け足している場合、本文がその程度まで示しているかも確認します。
最後に見直すのは、答えの番号より根拠の確かさ
時間が余ったときは、解答番号だけを見直すのではなく、迷って選んだ設問の根拠を再確認します。選択肢の言い換えが本文の主語・数量・時点・程度を保っているかを調べ、選んだ理由を一文で言えるか確認してください。本文の根拠が示せない設問は、正解していても復習対象です。
見直しで別の選択肢へ変える場合は、変える理由が「根拠を新たに見つけた」なのか、「不安になった」だけなのかを分けます。根拠が変わっていないのに答案を変える癖があるなら、試験後に変更前後の正誤を記録し、判断の質を確かめます。すべての問題を読み返すより、設問の条件と根拠の対応が曖昧だった問題を優先します。
復習が終わったかを点数以外で確かめる
現代文の復習後は、同じ問題で正解できたかだけで判断しません。別の文章で、問いを言い換え、根拠を示し、誤答選択肢のずれを説明できるかを確認します。これができれば、本文の読み方を再現できています。正答率が上がっても根拠を説明できない場合は、判断手順をもう一度練習してください。
要約は細部を残すより、段落の役割を残す
段落の要約が本文の言い換えに長くなる場合は、具体例や背景をすべて残そうとしている可能性があります。段落が主張を示すのか、理由を説明するのか、反対意見を紹介するのかを先に書き、その役割を支える情報を一つ選びます。全体の主張を問う設問では、この役割の違いが正解の根拠を探す助けになります。ただし、具体例が結論の条件になっている文章では、例を省くと筆者の主張の範囲が変わる場合があります。要約を作った後、原文の「しかし」「ただし」「この場合」などへ戻り、条件や例外を落としていないか確認してください。
内容を確認する一次資料
- 文部科学省「高等学校学習指導要領解説・国語編」
- 大学入試センター「大学入学共通テストの仕組み等」
- 大学入試センター「令和8年度試験の問題・正解」
大学入試センターの問題は、実施済み試験の形式を確認するための資料です。高2向け各模試の出題内容や採点基準を示すものではありません。
参考・公式情報
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現論会で相談するときに持ってくるとよいもの
現論会で相談するときは、次のものがあると、失点の型と次の練習を具体的に決められます。
相談では、点数ではなく「どの設問型で同じ誤りを繰り返しているか」を基準に計画を組み直します。





