古文や漢文の模試で失点すると、「単語を覚えていない」「句形が苦手」とまとめてしまいがちです。しかし、古語の意味は分かったのに助動詞の接続を誤った、敬語の向きから主語を追えなかった、漢文の返り点は読めたのに設問の根拠を拾えなかった、という違いがあります。原因を分けずに単語帳や句形集を最初からやり直しても、答案の失点箇所が残ることがあります。
高2模試の範囲は学校の進度や実施回によって変わります。未習作品や未習句形の誤りを、既習内容を忘れた失点と同じにしないでください。この記事の古文・漢文の例は手順を説明するために独自作成したもので、実在の模試・入試問題ではありません。実際の模試では、問題冊子・採点基準・学校の授業範囲を優先します。
目次
古文は「語・文法・主語・敬語・内容」を分けて確認する
古文の誤答を復習するときは、現代語訳を見て納得する前に、本文の該当箇所を品詞と文節に分けます。
| 確認項目 | 答案で起きやすい誤り | 直すときの確認 |
|---|---|---|
| 古語 | 現代語の意味だけで決める | 本文に合う意味を前後の文脈で選ぶ |
| 助動詞 | 接続・活用・意味の一つを飛ばす | 直前語の活用形から接続できるか確かめる |
| 助詞 | 「ば」「ど」「に」などを一つの意味に固定 | 接続する形と文の関係を両方見る |
| 主語 | 省略された主語を直前の名詞にする | 敬語・会話・動作の主体を手掛かりにする |
| 敬語 | 敬語の種類だけ暗記し、誰への敬意か見ない | 動作主・動作の相手・話し手を図にする |
| 心情・理由 | 結末だけから登場人物の感情を決める | 心情の根拠となる行動・発言を本文から示す |
独自作成例:助動詞と主語を一緒に確認する
雨降りければ、若き人、門を出でず。翁、これを見て、「今は待て」と言ひけり。
この文は古文の学習手順を説明するための独自作成例です。冒頭の「降りければ」は、「降り」の後に過去・詠嘆などを表す助動詞「けり」の已然形「けれ」が続き、接続助詞「ば」が付いた形です。この文では後ろに「若き人、門を出でず」と続くため、「雨が降ったので、若い人は門を出ない」と因果関係で読むのが自然です。
「出でず」は「出づ」の未然形「出で」に打消の助動詞「ず」が付いた形です。誰が出ないのかは、直前の「若き人」が主語です。次の「翁、これを見て」では、主語が翁に切り替わります。「これ」は若い人が門を出ない様子を指し、翁がそれを見て「今は待て」と言ったと読めます。
間違えた場合は、「けれ」の意味だけを覚え直すのでなく、直前の活用形、接続助詞ばの接続、主語の切り替わりを順に確認します。単語の意味・文法・主語のどこで読みが変わったか記録すれば、同じ失点を防ぐ練習が選べます。
助動詞は意味の丸暗記でなく、接続から判定する
助動詞問題では、意味を複数暗記していても、本文に入れたときに活用と接続が合わなければ正しく読めません。問題の該当箇所を次の順番で確認します。
- 助動詞の直前にある語を特定する。
- その語が未然形・連用形・終止形など、どの活用形か確かめる。
- 助動詞の接続条件と合うか見る。
- 文末、後続表現、話し手の立場から意味を選ぶ。
- その意味を入れた現代語訳が、前後の動きとつながるか確かめる。
「む」は推量・意志・勧誘・仮定・婉曲など複数の意味を持ちます。意味を一語だけで決めず、主語が誰か、発話か地の文か、後に条件表現が続くかを手掛かりにします。模試の選択肢で「む=意志」とだけ覚えていると、主語が話し手以外の場合や、連体形として後ろの名詞を修飾する場合に読み違えます。
「ば」も同じ形で原因・理由を表す場合と、仮定条件を表す場合があります。接続する活用形が異なることを確かめ、訳を機械的に一つに固定しないようにします。解説で意味を確認した後、直前の形へ戻って接続の根拠を説明します。
敬語は「誰が誰に何をしたか」を線で結ぶ
敬語の種類を知っていても、尊敬語があるから必ず主語が身分の高い人物だ、と単純化することはできません。敬語が表す動作や、動作を受ける人、語り手の位置を文章の中で整理します。
登場人物をA・B・語り手と置き、矢印で「動作主 → 動作の相手」を書いてみます。尊敬語なら動作主への敬意、謙譲語なら動作の相手への敬意が関係します。誰が話しているかが変われば、敬意を向ける先も変わる場合があります。
復習では、敬語表現に線を引き、横に次の三点を書きます。
- 敬語がかかる動作は何か
- その動作をする人物は誰か
- 敬意を受ける人物は誰か
主語が省略されているときは、敬語だけでなく、会話の主体、動作の連続、物語の場面転換を合わせて読みます。敬語の一覧表だけを見直すのではなく、本文のどの人物関係が分からなかったかに戻ることが大切です。
漢文は返り点を読めた後に、句形と文脈を確認する
漢文では、返り点の順序が分かっても、語句の意味、句形、否定・反語・使役・受身などの関係を取り違えることがあります。書き下し文だけを暗記せず、現代語訳が本文の論理に合うか確かめます。
| つまずき | 見直す箇所 | 再確認の方法 |
|---|---|---|
| 語順が崩れる | レ点、一二点、上下点 | 返読する文字を番号で並べてから読む |
| 否定の範囲が違う | 不、未、無、莫など | 何を否定しているか目的語まで囲む |
| 反語に気づかない | 豈、安、何などの組み合わせ | 直訳と文脈上の答えを両方確認する |
| 使役と受身を混同 | 使・令・為・見など | 誰が誰に何をさせる/されるか矢印にする |
| 句形は分かるが意味が違う | 主語、省略語、前後関係 | 直前・直後の文を含めて現代語訳する |
独自作成例:否定がかかる範囲を確認する
人皆知之、而我未能行之。
この例は漢文の確認方法を説明するために作成したもので、実際の入試問題ではありません。「人は皆これを知る、而して我はいまだこれを行う能はず」と読むと、知識を持つことと実行できることが対比されています。「未」は、私がそれをまだ実行できないことを示し、前半の「皆が知る」まで否定していません。
誤答したときは、否定語だけを探すのではなく、否定がどの動詞にかかり、主語がどこで変わるかを確認します。後半を「私も知らない」と訳した場合、知る・行うの動詞を混同した可能性があります。文を二つの節に分け、主語・述語・目的語を対応させてから、接続語「而」の働きを考えましょう。
古文と漢文に共通する「主語が省略される」失点
古文・漢文とも、主語が書かれていない文で一つ前の主語をそのまま当てはめると、動作主が入れ替わった地点を見落とします。動作・発言・敬語・接続助詞から、誰の行動かを確かめます。復習用の本文には、主語が変わったところに縦線を引き、人物名を小さく書きます。発言には「話し手」、敬語には「動作主」と「敬意の向き」を付けます。主語を確定できない箇所には「未確定」と書き、根拠を探す前に決めつけないことも大切です。
設問の選択肢が人物の心情や意図を問う場合、会話の内容だけでなく、その前後にある行動や状況も根拠に含めます。人物の台詞をそのまま本音とみなせない叙述もあります。本文が示す事実と、読者の推測を区別しましょう。
古文・漢文の復習は、知識確認と本文読解を分けて行う
- 知識を使わずに誤答を分類する:語彙、文法、主語、敬語、句形、設問根拠、時間に仮ラベルを付ける。
- 知識の穴だけを短時間で確認する:助動詞の接続表、敬語、句形など、答案で使えなかった項目を調べる。
- 本文へ戻って訳し直す:知識を当てはめた読みが前後の文とつながるか確認する。
- 解答を閉じて根拠を説明する:正解の根拠と、誤答のずれを自分の言葉で示す。
- 数日後に別の文章で試す:同じ文の訳を記憶しているかでなく、新しい本文で同じ判断ができるか見る。
一度の模試で全部の知識を総復習すると、何が失点に影響したのか分かりにくくなります。誤答した一文に関係する知識を優先し、未習範囲は別に記録します。授業でまだ扱っていない作品や句形の失点は、学習計画へ移し、既習範囲の穴と同じ点数計算にしないようにします。
復習記録の例
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 設問 | 翁が若い人に言ったことの理由 |
| 知識 | 「降りければ」=雨が降ったので |
| 人物 | 「出でず」の主語は若き人、「見て」の主語は翁 |
| 自分の誤り | 全文の主語を若き人のまま読んだ |
| 次の練習 | 主語が切り替わる本文で動作主を記録する |
二週間の復習計画
返却当日は、答案の誤答箇所と問題冊子を照合し、未習範囲を区別します。翌日は古文・漢文それぞれで主因を一つ選びます。2〜4日目に、助動詞・敬語または句形の短問を解きます。5〜7日目は元の本文を解答なしで読み、主語と根拠を説明します。8〜10日目に別の本文で同じ練習をし、11〜14日目に時間を測った小問セットで正答率を確かめます。
復習後に見るのは、用語を言えるかだけではありません。本文の形から助動詞を判定できるか、敬語表現から動作主と相手を考えられるか、漢文の否定の範囲を説明できるかを見ます。次の模試で同じ誤りが減ったかを記録し、伸びが見えない場合は練習方法を変えます。
よくある質問
古文単語を覚えているのに現代語訳ができません。
語彙だけでなく、助動詞の接続、助詞の意味、主語の省略、敬語の向きが影響している可能性があります。訳せなかった文を品詞・述語・主語に分け、どこで現代語と違う判断をしたか確かめます。
敬語は一覧を暗記すれば読めるようになりますか?
敬語の意味を覚えることは必要ですが、本文では動作主と敬意を受ける人物を特定する必要があります。敬語表現がどの動作にかかるか、誰の行動として読むかを文脈で確認します。漢文の句形を覚えても模試で間違えます。
句形の名前を思い出すだけでは、主語や否定の範囲がずれる場合があります。句形を本文に当て、語順、動作主、目的語まで対応させて現代語訳を作ります。句形の知識と文脈の判断を別々に確認してください。
模試の古典が未習範囲なら、復習しなくてよいですか?
未習範囲の知識そのものは授業計画に沿って学びます。ただし、既習の助動詞や句形、主語の追い方を使えば解けた設問がなかったかは確認できます。未習と既習のどちらに原因があるかを分けることで、必要な復習が見つかります。
高2全体の模試の判定や学習計画は、高2模試の判定から今後の学習を考えると模試後に失点を学習計画へつなげる方法も参照してください。
まとめ
古文の失点では、語彙・文法・主語・敬語・本文の根拠を分け、漢文では語順・句形・否定の範囲・主語の切り替わりを確認します。解説の現代語訳を読んで終わらせず、本文の形がその訳を支えている理由を説明してください。
次の勉強は、失点した一文から決めます。助動詞の接続が原因なら接続を、人物関係が原因なら敬語と主語を、漢文の否定が原因なら否定範囲を練習します。数日後に別の本文で同じ読み方を再現できるか確かめましょう。
文法は活用表の暗記を、本文の判定手順へつなげる
古文の助動詞は、同じ助動詞に複数の意味があるため、活用表を見ただけでは設問の答えになりません。答案で間違えた語について、直前語の活用、助動詞の接続、文中の役割、前後の意味を順に確認します。
独自作成例:「ぬ」の形だけで完了・打消を決めない
次の二文は、違いを説明するために作った例です。
- 花咲きぬ。
- 花咲かぬ春。
前者の「咲きぬ」は、動詞「咲く」の連用形「咲き」に完了の助動詞「ぬ」が続いた形として読めます。後者の「咲かぬ春」は、未然形「咲か」に打消の助動詞「ず」の連体形「ぬ」が続く形として読めます。形の似た「ぬ」を見て意味を即決せず、直前の活用形を見て接続を確かめます。文末か名詞を修飾するか、前後にどの意味が通るかも確認します。
「ず」の活用表を思い出せなかったのか、動詞の活用を見分けられなかったのか、文脈の意味を選べなかったのかを別々に記録します。助動詞だけを暗記し直すより、失点した形を含む短文で判定する方が、どこで迷ったか分かります。
主語と敬語は、場面が変わった箇所を見つけて読む
古文で主語を補うときは、登場人物の序列だけでなく、発話、動作の連続、敬語、場面転換を見ます。ある人物の動作が続く間は主語が省略されることがありますが、別の人物の発話や動作で切り替わる場合もあります。物語の主語を最初の人物に固定しないようにします。
本文の余白に人物名を短縮して書き、動作ごとに主語を付けると、指示語や敬語を追いやすくなります。発言には話者と相手、敬語には動作主と敬意の向きが必要です。敬語のある文を見つけても、その文の動作がどの人物にかかるのかまで決める必要があります。
主語が二通りに読める場合は、解説を読む前に、どちらの解釈が前後の文とつながるか確認します。人物関係を一つの語だけで決めず、会話の受け答えや次の行動を根拠にします。
漢文の否定・反語・限定は、問いの要求へ結び付ける
漢文の句形は、書き下し文を覚えるだけでは、否定がどこにかかるか、反語が何を強調するかを取り違えることがあります。文中の動詞・目的語を先に見つけ、否定語や疑問語がどの部分を修飾するか印を付けます。
- 不・未:否定や未実現がどの動作にかかるかを見る。
- 無・莫:存在しないもの、禁止される動作など、主語と目的語を確認する。
- 豈・安・何など:疑問として情報を尋ねているか、反語で強い否定を表すかを前後から考える。
- 使・令など:誰が誰に何をさせているか、動作主を矢印で示す。
- 唯・但など:限定される範囲を本文の名詞・述語と対応させる。
句形を間違えたら、返り点の順序が原因か、語句の知識か、文の論理かを分けます。書き下し文が正しくても、主語を取り違えて現代語訳が違うことがあります。答案に主語を補い、否定・反語の範囲を一言で説明してください。
古典の選択問題で不適切な選択肢を消す
選択肢を選ぶときは、本文にある単語が含まれているかではなく、誰が何をしたか、いつのことか、どんな理由かを照合します。人物の心情問題なら、心情を直接示す語があるのか、行動から推測するのかを分けます。漢文の内容説明なら、前半と後半の対比、因果、否定の範囲を確認します。
誤答の選択肢には、本文の一部を使って全体を言い換えながら、主語・時点・程度だけを変えるものがあります。古文で「翁が若者に待つよう勧めた」を「若者が翁に待つよう命じた」とするなど、人物と発話の向きが入れ替わる場合があります。単語が同じでも、動作の主体と対象が違えば内容は変わります。
解答解説を読んだ後は、正解が成り立つ根拠と、誤答が成立しない一語をセットで記録します。誤答を消した理由を説明できれば、次の本文で同じ選択肢操作に注意できます。
家庭学習の短い回し方
古文・漢文の復習を同じ日に詰め込みすぎる必要はありません。たとえば20分なら、最初の5分で前回迷った助動詞や句形を自力で思い出し、次の10分で短い本文を一つ読み、最後の5分で主語・根拠・誤答理由を記録します。単語帳の周回を加える場合も、模試で意味が取れなかった語を優先します。
翌日には同じ本文を訳し直すのでなく、似た形を含む別の文で確かめます。正解できたかに加え、根拠を本文中に示せるか、主語の切り替わりを説明できるかを目安にします。古典の学習時間が限られる時期でも、知識の確認と読解の確認を交互に行うことで、暗記と文章の読みをつなげられます。
文章全体のつながりを追い、現代語訳の不自然さを検知する
古文を一文ずつ訳しても、場面の流れがつながらないときは、主語・敬語・接続助詞を見直します。漢文でも、訓読後の語順が正しくても、対比・因果・条件の関係が取れていない場合があります。現代語訳を作った後、誰が何をしたかを短い物語として説明し、本文の順序と矛盾しないかを確かめます。
「だから」「しかし」「もし」などを訳に入れたとき、その接続が本文のどの語に対応するか印を付けます。根拠となる助詞や句形を示せなければ、訳のつじつまを自分で補っている可能性があります。古文は接続助詞や係り結び、漢文は否定・反語・対句など、文の関係を示す形に注意します。
古典の現代語訳を、答案に必要な要素へ短くする
現代語訳の問題と内容説明問題では、求められる答案の形が違います。現代語訳では助動詞・敬語・指示語を落とさず意味を移します。内容説明では、本文の出来事や人物の意図など、設問が求める要素を短くまとめます。長い訳をそのまま書いて、問いに答える要点を含め損なうことがあります。
記述前に「誰が」「何をした/どう感じた」「なぜ/どのように」を余白に書きます。採点基準が公開されている模試では、その基準と自分の答案を比べ、語句の選び方だけでなく必須要素の欠けを確認してください。学校の添削や模試の採点基準を優先し、自己採点で正誤を決めつけないようにします。
内容を確認する一次資料
- 文部科学省「高等学校学習指導要領解説・国語編」
- 大学入試センター「大学入学共通テストの仕組み等」
- 大学入試センター「令和8年度試験の問題・正解」
大学入試センターの資料は実施済み試験の一次情報です。個々の高2模試の範囲、本文、解答、配点は各模試の公式資料で確認してください。
参考・公式情報
あわせて読みたい記事
古典の知識確認と本文読解を分けて進めるための記事をまとめました。
現論会で相談するときに持ってくるとよいもの
現論会で相談するときは、次のものがあると、知識の穴と読み方の課題を分けて確認できます。
相談では、未習範囲と既習範囲を分けたうえで、次に確認する文法項目を一つに絞ります。





